H24.10.7〜8 足尾山塊やぶこぎ縦走!


2012年10月07日


H24.10.7〜8 足尾山塊やぶこぎ縦走  メンバー たけお&ハッシー


早いもので、中学時代からの旧友と松木沢を遡行してからもう4年が経ってしまった。ニゴリ小屋を探しに行ったものの等々みつけられず、ニゴリ沢出会でキャンプして帰ってきた当時が懐かしい。


リベンジしようぜと約束したものの、その2年後に彼は腎臓がんのため他界してしまった。
あれからず〜と心のどこかにひっかかっていた彼との約束を10月の連休を利用して果たしに行くことにした。

10月7日(日)の朝はあいにくの雨模様であったが、天気予報では翌8日(月)は回復するとのことなので、朝7:30に足尾の銅(あかがね)親水公園を出発する。


2時間の荒れた林道歩きを経て、沢靴に履き替え松木川に足を入れる。ここからモミジ尾根取付きまでは2時間の沢歩きである。既に禁漁期間に入っているので足尾の沢も人影はまったくない。10月の沢はさすがに冷たかったが、いまだ渇水の影響か?水流は弱々しく足首を濡らす程度なので体力を奪われることはない。



2012年10月07日


4年前の記憶をたどるように沢を遡行すること2時間でニゴリ沢出会い付近に到着。このあたりまで来ると、松木渓谷の両岸は青々とした紅葉樹林が両岸を覆ってしまい、人工物の気配はまったくわからない。


踏跡はみつけられなかったが、1本の赤テープを発見したことから、これを頼りに右岸(左側)の斜面を強引に登ってみると、湧水の細い水流を発見。これは近くに小屋があるなと確信し斜面を登ると、白い砂地のテニスコート程もある台地に飛び出す。


そこには、屋根はトタンとブルーシート、そして壁は大量のペットボトルで作られた大きな小屋がドーンと建っていた! ついに発見したニゴリ小屋に心が躍る!さっそく無人の小屋に入ってみると明るい!窓はないが、ペットボトルの壁全体が採光するので、一般的な暗い避難小屋とまったく違い兎に角、明るいのである!


小屋前に湧水が流れているし、内側はすべて白いペンキで塗られたこの明るい小屋は20人は泊れそうである。是非今度ここに泊る企画をしたいものである。こうして今回の一つの目的であったニゴリ小屋について4年越しで発見することができたのであった(^^)


その後、松木沢本谷からニゴリ沢に入ると水量は格段に減る。ここで巨大キノコを発見し、ハッシーと二人ビックリする!タバコ一箱乗せてもへっちゃらである!残念なことに我々は隊長のようなキノコの知識がないので採取せずスルーする。


30分程遡行し沢が左にカーブしたあたりにケルンがあり、これがモミジ尾根への目印であることがわかる。さらに上流には3メートル程の滝が見えるが滝まで行ってしまうと行きすぎである。左岸(右側)をみあげると黄色と赤の標識板が何枚も樹木に打ち付けてあるので、ここがモミジ尾根への取り付きとわかる。ここで再び沢靴から登山靴に履き替えて、傾斜40度はありそうな急登にとりかかる!



2012年10月07日


モミジ尾根は踏跡が不明確であるが、樹木に打ち付けられている赤と黄色のプレートをたよりに登っていくと、1時間程で傾斜も緩み白い幹の岳樺と青々とした笹に覆われた明るく広い尾根に飛び出す。このあたりからは、丈の低い笹が一面に生い茂り、踏み跡などまったくなくなる。とっても広い尾根なのでどこを歩いてよいか迷ってしまうが、とにかく青い空がみえる鞍部に向かう最短コースを進んでみる。


本当に気持ちの良い尾根であるが、馴れない沢歩きとモミジ尾根の急登が相当こたえたのかハッシーの遅れが甚だしくなる。とりあえず、空の見える最低鞍部が国境平と思い先行させてもらう。トラロープに誘われるようにやや左気味に登った鞍部が案の定、国境平であった。立木に打ち付けられたゴールドプレートの下に座り、現在位置を知らせる笛を吹きながら、ハッシーの到着を待つ。


5分程でハッシーも到着、時刻はまだ午後2時につき今後のコース取りについて打ち合わせする。当初計画していた空荷で皇海山までピストンすることはあっさり諦める。まず時間が厳しいし、なんといっても、さらに標高差500メートルの急登尾根を備え眼前にデーンと存在感抜群に鎮座している皇海山を眺めただけで、神々しいその姿に無条件降伏してしまったのであった。


さて、今回の山行の第二の目的であった、「国境平の水場を見つけて、平川の最初の一滴で乾杯する!」であるが、残念ながら国境平の広い尾根は笹原に覆われ水場を発見することはできなかった。明日は三俣山まで北上し、そこから東に伸びる中禅寺湖南岸尾根(三俣山〜シドケ山〜黒ビ岳)を縦走し大平山経由で松木尾根伝いに足尾町に下山する長大なコースを消化しなければならないことから、今日中にカモシカ平まで行くことにする。


カモシカ平にも釜沢の最初の一滴となる水場があるらしいが、詳しい情報もなく、「水が確保できなければ今日のコースをピストン下山だな〜」などと冗談を言いながら、丈の低い笹に覆われた日向山(1,695メートル)を超えると、午後3時には笹原の気持ちの良い鞍部に到着。さらにその先には広い白砂の台地が広がっている。白砂の台地の周りには程良く岳樺の木が生い茂り防風の役目をはたしてくれている。


まずは水の確保と、もしもの場合に備えてヘッテン・非常食等を持って栃木側へ水場探しに出かける。・・・と、なんてことはなく、幕営地から徒歩1分の白砂の台地に生えた1本の岳樺の木の根元からトクトクと湧水がまさに湧きでていた。「カモシカ平〜最高!」である、岳樺の防風林に囲まれた白砂のフラットな台地に水場まで備わっているのである。もちろん、足尾側からは長〜い沢歩きをしないとこれないアクセスが非常に不便なところにつき人臭くなく、本日も我々二人の独占である。


午後4時にはお互いのテント(おいらはツエルト)を向き合わせ宴会開始!紅葉には1週間程早かったが黄昏ゆく皇海山を眺めながらの酒は格別であった。ま〜あ、おいらも、ハッシーも酒はてんで弱いので、そのまま初日は午後7時には各々のテントにて就寝したのであった・・



2012年10月07日


10月8日(月) 夜中、何度がカン高い鹿の鳴き声に目を覚ます。午前3時、トイレにツエルトから這い出すと満天の星空がカモシカ平の空をおおい本日の好天を約束してくれた(^^)


朝方はさすがに冷えた、朝5時に起床するとツエルトの内側の結露はみな凍結しいた。タープを張り2重構造にしたツエルト内の温度は10℃程度はキープしていたが、標高1,630メートルのカモシカ平は氷点下である。トランギアのアルコールバーナーでコーヒーを沸かし、続いてインスタントラーメンを煮る。アルコールバーナーはコンパクトであるのののガスに比べて絶対的に熱量が低いので、これからの季節はちょっと厳しいかな?日帰り登山でコーヒーを沸かす程度なら絶対お勧めの一品である。


ハッシーも起き出したが、寒いのでお互いテント内で各々食事を採る。ハッシーに朝食のメニューについてテント越しにたずねると「今年1月の奥白根五色沼避難小屋で食べた餅(お汁粉)のうまさが忘れられず、雑煮にしました」と、うまそうに餅を食べる音が聞こえてきた。


午前6:30に朝日を浴びてキラキラと輝くカモシカ平を出発する!本当に良いテン場であった。さあ〜本日は長丁場、まずは釜5峯と呼ばれるピークが連続して現れる三俣山まで伸びる尾根を北上する。このあたりは、まつたく登山道どころか踏み跡すらないので、一面の笹原の適当なところを藪こぎする。ま〜あ所々にある、赤と黄色の金属プレートを目印に尾根を外さないように進めば問題ない。巻き道はまったくわからなかったので、釜5峯すべてのピークを通過して超えたのであるが、場所によっては胸近くまである藪こぎが続き靴の中まで笹の葉だらけになってしまった。

最後の1峯は、ルートを間違えたの60度はある岩肌にかじり付くように登らなければならず、残雪期や降りでは到底越えられそうもないので、たぶん巻き道があるのだろう。


午前9時、予定通りの三俣山に到着!釜5峯はいずれも展望が良かったのであるが、標高1,980メートルの三俣山は樹林に囲まれて展望はゼロであった。ここから名前の通り尾根は三俣に別れているので、広い尾根をやや東を意識して進むと中禅寺湖南岸尾根に乗れる。


このあたりは本当に尾根が広がっており、しかも樹木が生茂り視界も効かないことからルーファン技術が試される箇所である。やっと藪こぎから解放されるものの、苔むした樹林帯の尾根はおもしろさに欠ける。ここから黒ビ岳まではずっと苔むした樹林帯の広い尾根あるきであった。



2012年10月07日


たまに視界が開けた場所があり、松木沢からモミジ尾根、国境平に至る昨日歩いたコースが一望できる!


足尾の木々もいくぶん色づき始めはいたものの、紅葉のピークは1週間後かな?








2012年10月07日


午前11:30、予定よりかなり遅れてシドケ山に到着!このあたりから、幸せな新婚生活(かなりノロケ話を聞かされた)ですっかり山から離れて体力が低下しているのか?ハッシーが遅れ始める。


あいかわらず登山道がない広い尾根が続いていることから、笛を吹き現在位置を知らせながら先行させてもらう。シドケ山〜黒ビ岳間も何本かの枝尾根があり、こちらに吸い込まれそうになりながらもなんとかルーファン(すいません、携帯のGPSソフト:山旅ロガー&地図ロイドの力を借りました)し、午後1時に黒ビ山の雨量観測所に到着。


中禅寺湖と男体山の展望を期待してきたのであるが、ここも樹林帯の中でまったく展望はなかった。ここから南に伸びる尾根というより平地の林といった感じのだだっぴろ〜い尾根を南に進む。



2012年10月07日


やがて社山へと続く東に伸びる尾根に誤って乗らないように意識して、ある程度南下してから、南西方面にコンパスをあわせて、自分のルーファーンを信じて広―い森の中を南西に突き進むと、やがて空が開けて笹原のピークに飛び出す!


とっても気持が良い場所である。ここが大平山と思ったが、山頂の標札がないことから、さらに腰まである笹原を南に藪こぎすると、やがて足尾の町が一望できるピークに達すると、そこが大平山であった。時刻は既に午後2:30である。時間も押していることから、かなりお疲れモードのハッシーを叱咤激励し下山にとりかかかる。


下山コースは大平山から銅親水公園付近まで延びる松木尾根を降るのであるが、ここも気の効いた登山道などない!ひたすら笹原の藪こぎである。しかも標高差1,200メートルを秋の早くなった日没までの残り3時間で降らなければ、ビバーク決定である!明日は仕事、オイラは心を鬼にして、鞭で牛を追いたてるカウボーイ化するのであった! すなわち、ハッシーを先行させて、後ろからプレシャーをかけることにより下山のスピードを速めようとしたのである!・・・が、肝心のおいらも、自分で認識している以上に相当へたばっていた訳で、まったく下山スピードはあがらないまま樹木がなく見通しのきいた笹原の尾根をノソノソと下降するのであった。


やがて樹林帯まで降ると、樹木に巻かれた鹿対策用のパネルが目立ち始め、クマ捕獲用のドラム缶のような罠が設置されてた場所に出る。その後間もなくして大型の太陽電池パネルを備えた監視カメラ塔が現われると、なんと林道に飛び出したのであった!


地形図で調べた林道はもっとず〜と下の方であったはずであるが、どうやら標高1,356メートル地点まで安蘇沢林道の支線が延びていたようであった。時刻はちょうど午後4:00、あとはこの林道を降るだけなので、たとへ陽が沈んでしまっても大丈夫である。ここで、ハッシーと今回のミッションの成功を祝い握手を交わし記念撮影をする。


あとはここから6キロ2時間の長〜い林道歩きをこなし、午後5:30には日没を迎えたものの、その後はヘッテンのお世話になりながらも、なんとか午後6:00に銅親水公園に到着したのであった(^^)



2012年10月10日


コースタイム

1日目
7:30銅親水公園〜9:30松木川〜11:30ニゴリ小屋〜12:00ニゴリ沢〜12:30モミジ尾根〜14:00国境平〜15:00カモシカ平(幕営)


2日目
6:30カモシカ平〜9:00三俣山〜11:30シドケ山〜13:00黒ビ岳〜14:30大平山〜16:00安蘇沢林道〜18:00銅親水公園


感想

山旅ロガーで軌跡ログをとりながら登山したのであるが2日間の水平移動距離33キロときつかったな〜
沢歩・やぶこぎ・ルーファン・幕営と山遊びのいろいろがミックスされたコースは、初心者を寄せ付けないので二日間で出会った登山者はニゴリ小屋に泊ったと言うおじさんを含め3人のみで秋の静かな足尾山塊を満喫することができました。カモシカ平の幕営地は快適であったが、ルーファンを1度でもミスると1泊2日では難しいかな?予備日を1日用意して登れば、冒険心をくすぐる良いコースだと思います。




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