8/18 鉱毒の渓は今!


2007年08月18日


依然から気になっている沢がある、渡瀬川流域の最上流にある足尾銅山周辺の沢である。ご存知、足尾鉱毒事件により、日本公害史発祥の地という大変不名誉なことで有名になった土地であり、100年以上経過した現在も周辺の山々はいまだ禿山という悲壮な状態にある。

明治期は銅山景気で県内では宇都宮に次ぐ人口を有した地域も、現在は閑散とした雰囲気は否めない。地元は、「日本のグランドキャニオン」とうたって観光キャンペーンをはっているが、もうヤケクソとしか考えられない。公害問題発祥の地を観光資源として前面に出した方が良いのではと思う。色々なホームページをのぞいてみたが、松木川でイワナを釣ったとの情報はほとんどなく、車止めからのアクセスも悪く、釣人達からは、見捨てられた沢といった感じである。まさに私向きの沢である。

8月は夏休みをとったものの、地元の夏祭り、花火大会、3年目に突入した家族で裏磐梯キャンプ(何と、熊に遭遇! といっても、犬ぐらにの大きさでしたが!※熊との遭遇については、また別の機会にアップしたいと思います。)と家族サービスが続き、釣りは一度も行っていない。とりあえず、家族の了解をもらい(最近は嫁ばかりでなく、6歳になった娘も注文をつけてくるようになった)松木沢調査釣行が決定!



2007年08月18日


午前4時起床! 前日は埼玉県でも気温が40度を超し灼熱地獄と化していたが、この日は関東地方も北の高気圧の勢力化に入り気温も下がり、しかも雨模様である。今日は林道を相当歩く予定なので好都合である。

午前4:30自宅を出発!一応30リットルのザックは防水仕様にし、もしもの場合にそなえツエルトとシュラフカバーもつ込んでおいた。

雨の粕尾峠を越え銅親水公園の駐車場に着いたのは午前7:00、自宅から2時間半程の行程である。しかし、以外なことに駐車場には既に、4台の車が止っていた。登山者か釣人か? どのみち、今回は調査にきただけなので、先行者がいてもヘッチャラだもんね!と勝手に自分を納得させ、早々に着替えて車止めを越えた。



2007年08月18日


霧雨が降っているが、特にカッパは用意してこなかった。私の安いカッパでは、長時間行動すると蒸れて酷いことになるのである。

小型の折りたたみ傘をさして歩くこと5分、前方から初老のおじさんが歩いてきた。さっそく挨拶してみると、イワナを釣ってきたとのことで、イワナ3匹、ヤマメ1匹を魚篭から取出して見せてくれた。とても感じの良いおじさんで、よくこの場所に来るとのこと。エサについてたずねると、「私は横着ものだから、これ!」と自前で巻いたと思われる毛鉤を見せてくれた。

むむ、このおじさんかなりの腕だなと感心していると、今度は「よかったら、魚もってきなよ!」と私に魚篭の魚すべてを差出してきた。さすがに、自分がまだ釣もしていないのに、もらうわけにもいかず、丁寧に断る。

おじさんは、「私は久蔵沢に入ったし、別の人が既に松木沢に入っているから、仁田元沢に入るといいよ!」と薦めてくれた。今度キャンプに来ようと思い、今日沢を偵察にきた旨、事情を話し、先行者がいる松木沢に入ることを告げて、おじさんと別れる。



2007年08月18日


その後、雨の中、鹿の鳴き声に驚かされながらも(この辺りは異常にシカが多く、そこらじゅうにシカの足跡と糞そして、シカそのものが走り回っている)砕石工場沿いの退屈な林道を歩くこと1時間。

話には聞いていた足尾ジャンダルムが突然、雲の中から現れてきた。こいつが、日本のグランドキャニオンの異名を持つ、壮大な岩山か!何本かの岩登りのルートがあるとことである。個人的には公害の破壊の凄まじさを100年後の今日に伝える悲しき禿山にしか見えない。誰もとりついている様子もないことから、先を急ぐ!



2007年08月18日


崩れかけた林道と沢との高低差が20メートル程ある場所で先行者に追いついてしまった。私は林道、先行者の方は沢、お互い気がついたものの、距離があり会話をすることができない!

私はジェスチャーで、頭抜けする気はなく、後から着いて行く旨を伝えと、しばらくルワーの先行者の方の釣をはるか上の林道からながめることにした。しかし10分もすると、先行者の方が、先に行ってくれとのジェスチャーを送ってきた。先行者の方の前方には巨大な砂防ダムがあり、こいつを巻くのは不可能と思えたので、お言葉に甘えて先行させてもらうことに。

しかし、すぐに林道は大量の落石により埋め尽くされ、ガードレールも飴のようにズタズタに折れ曲がり、消滅していた。



2007年08月18日


落石の危険のあるガレ場を足早に越え、沢に下りる。川原は50メートル程もあり、川幅も平均で4メートルはある。透明度が高く、空も空けていることから、フライやルワー向きの渓と思える。さっそく、ぶどう虫をエサに流れに竿を出すと、なんと一投目からアタリが!

7寸程度の白い美しいイワナがあがってきた。まさに塩焼きサイズのイワナであるが、本日はすべて放すことに決めていたので、写真撮影後開放。一度死んだ渓に戻ってきてくれた渓魚をキープするのは、キャンプの時だけにさせてもらうことに決めてきたのである。



2007年08月18日


その後も7寸程度のイワナを釣上げ、魚影があることを確認。竿を仕舞い沢歩きに集中することにした。すると私の足跡に驚き、次々とイワナが走る。久々の雨でイワナが瀬にでてきているようである。

「夏山の、鹿鳴く渓に、岩魚飛ぶ」、ジャンダルムの岩山を見て沈んでいた気分が、スーと明るくなるのを感じた。



2007年08月18日


巨大な第6堰堤を越えたところで、今回の調査の目的地であった三沢と小足沢を確認。どちらの沢も十分な水量があり、おもしろそうな釣ができそうである。ここで、最後に竿をだしたところ、またまた7寸程度のイワナが食いついてきた。この沢はどうやら、型がそろっているようである。こいつも、さんざんながめた後、沢にお帰りいただいた。雨も強くなってきたことから、ここで退渓することに。時刻は既に午前11時を回っている。

第6堰堤を下りたところで、先ほどの先行者の方と再び会った。先行させてもらったお礼を言い、さっそく情報交換。どうやら私と同じ埼玉県の方のようである。釣りはえさ、ルワー、フライなんでのこなすとのこと、歳は50代前半といった感じである。非常に穏やかな方で一安心(^^)。雨の中一人で心細くなったので、堰堤上で探検を打ち切り引き返してきたと話したところ、「私が、変わりに探検してきます。」と、笑顔で別れた。



2007年08月18日


その後は危険なガレ場を抜け退屈な林道歩きを2時間こなし、午後1時に車止めに到着。雨はいつのまにか止んだものの、重たいどんよりとした雲が足尾の禿山群を覆っていた。

帰りは、122号を利用し桐生を抜けて帰ったが、途中佐野のアウトレットモール渋滞にあい、自宅に着いたのが午後4時半。今回は特に眠くなることもなかったが、ガレ場で足に相当負荷をかけたのか、右足の膝が痛みしばらくビッコを引くほどであった。前回に引き続き良い沢を発見したと思うが、天候にも恵まれていたと思う。もし、晴れていたら難しい釣になったであろう。最後に、今回は沢名を公表しましたが、戻ってきてくてた渓魚達に敬意を払い大切に守って行きましょう。(^^)

収穫  イワナ 0匹
     軍手他ゴミ少々(第6堰堤上でキャンプした奴、ゴミはちゃんと持って帰れ!)




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